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2008年03月28日

Every Breath

瀬名秀明の「Every Breath」を読了した。
D介的に瀬名秀明といえば、「パラサイトイヴ」を読んだっきりでコワイ系のイメージでしたが、「Every Breath」は怖いお話ではありません(笑)。
Every Breath
<『Every Breath エヴリブレス』ストーリー概要>
主人公・久保杏子(27歳)は、証券会社に勤務し、金融業界において数理解析の専門家(=名称クオンツ)として、新しいプログラムの企画開発に従事している。ふとしたきっかけで杏子はPC上の仮想社会「BREATH」に自分の分身をつくることになる。分身・杏子は、その世界で野下洋平という男性と運命的な出会いをする。野下洋平(通称トシオ先輩)とは、かつて杏子が15歳のときに恋をした相手だ。お互いに思いを伝えることなく、そのまま離れ離れになってしまっていたが、彼への深い尊敬の念に包まれた特別な感情は、10年たった今でも常に杏子の心の奥に存在していた。分身・杏子は、現実の杏子とはまったく違う道を歩み、ラジオのパーソナリティとして活躍している。そして、その世界で野下洋平の分身に出会い、まるで現実の杏子の思いを投影するかのように、思いを深めていくのだった。そして物語は杏子の子供・孫の世代まで時代が及び、思わぬ展開をみせていく・・・
※TFM プレスリリースpdfより転載

今、余韻に浸りながらコレを書いていますが、決して易しい本ではありませんでした。難しい単語や表現もあるし、時間軸や物語が次々と転換していくので追いつくのに必死だっし。けど、ラストは膨大な情報量に呑み込まれるように一気に読破してしまった。 

恋愛小説であり、SF小説であり、ファンタジーであり、そして来るべき近未来を予言するような物語だとも思った。舞台装置に「セカンドライフ」を彷彿させる仮想現実空間が登場して、虚実が交錯するあたりがそう感じさせるのだろうけど、ちりばめられた情緒的な表現に想像力をかきたてられ、巧みな伏線が奥行き生みだして繊細に物語を紡いでゆく、そんな印象を得て面白く読むことが出来た。

この「Every Breath」は、TOKYO FM発信のメディアミックス企画(3セグメントマルチメディア放送とインターネットラジオでラジオドラマとしても放送)として書き下ろされたこともあり、劇中にラジオがさまざまな形で頻繁に登場するところも中々にくすぐられたが、一番ほくそえみながら楽しんだのは、物語の中に登場する宮古島のシーン。川満のマングローブ林や東平安名崎が舞台となり、現代宮古口のセリフや地下ダムの話が織り込まれ、さらには宮古高校の文化祭のシーンまで登場と、マニアな目線でも楽しめます。
けど、フィクションとはいえ最もショックだったのは、物語には直接関係のない部分だけれど、狩俣地区が津波に呑まれて池間大橋は崩壊し、地形も大きく変わってしまったという未来設定を描いた数行。実際、明和の大津波級ならば、ありえない話ではないけど、狩俣の西側には伊良部島が目の前にあり、東側は40mもの直壁に近い断崖になっているので、地勢的に考えれば直下型(直下型なら被害はもっと甚大なはず)でもない限り、現実的には怪しい気もする(宮古島近海でおきる地震は、八重干瀬の北方が震源のことが多い)と、突っ込んでおく。

また、「Every Breath」を読み進めていて、毛色もストーリーもまったく違うのだけど、NHK教育で再放送しているアニメ、「電脳コイル」が思い浮かんだ(実は密かに面白いので見ていたりする)。「電脳コイル」の設定に電脳メガネ(ウェアラブルコンピューター)を通しての仮想空間が設定されているまがアンテナに引っかかった。
「Every Breath」でも終盤の未来の「BREATH」は、ウェアラブルどころではない、さらに進んだ端末のように描かれているが、物語序盤で「BREATH」への接続端末が、まだPCという現代に近い設定で、主人公が何年もログインしていないことを「BREATH」は認識する。。最初に接続ソフトをインストールしている場面もあったので、共鳴する為の情報を常に収集しているとも思えるが、パソコンをバンバン使っている風の人物なので、買い換えしないってこともないだろう。もしかして勝手にファイヤーウォールを突破しているのだろうか。うーん、恐るべし「BREATH」。

読後感想というよりは、突っ込みになっていますが、宮古島が(物語の一部ですが)舞台に選ばれ、瑞々しく描かれたバーチャルな未来の島の姿が、非常に興味深い設定となっており、もし本当にこの設定のような宮古島になったとしたら、とても面白いたろうなぁ(キーワードは若い市長と、科学コミュニケーションコーディネイト業か・・・笑)。
以上、久々の長文とあいなりました。お疲れ様です。

瀬名秀明
http://www.senahideaki.com/
Every Breath
http://www.tfm.co.jp/books/



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Posted by D介 at 22:25│Comments(1)なかゆくい
この記事へのコメント
瀬名秀明は「BRAIN VALLEY」まで読んだっけなぁ……
沖縄が舞台のSFといえば藤崎慎吾の「ハイドゥナン」が面白かったっすよ。あれは与那国島がメインだけど。
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4152086556/
Posted by 唯ねーねー at 2008年03月28日 23:53
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