2013年01月13日
ナチュン

表紙の帯にもあるように、沖縄が舞台のSFです。
しかも、舞台は宮古島。
作中では地図を鏡焼きにした地図で模してあり、込屋島(コミヤ島)と呼ばれ平楽市(ヒララ市)がある。
周辺離島も、池間島が真計島(マケイ島:本作の舞台)、来間島が繰馬島(クリマ島)、伊良部島が江楽部島(エラブ島)、大神島は王神島(オウガン島)と、沖縄設定的な文字配列としては怪しい(カタカナだったけど、フデ岩も出てきた)。
また、島の登場人物も、おおむね沖縄姓ではあるんだけれど、必ずしも宮古姓ではなったりする。
けど、描写されている背景がどこか見たことのある街並みだったり、風景だったりします(なぜか菊之露はまんま描かれていた)。
ストーリーは今よりも少し科学技術(舞台装置として)が進んでいるものの、ほぼ現代といって差し支えない世界。主人公が退屈なイルカのビデオを見たことから始まります。
そしてイルカを求めて真計島(池間島)へとやって来た主人公(ナイチャー)が、島の人たちを巻き込んで(いや、巻き込まれて?)、壮大な野望が動き出します。
沖縄から深海へ。さらにアフリカ、バチカン、アメリカへと広がり、沖縄のダークサイド(設定として)を担うカンカカリャーの秘密なんかも絡んで、とんでもない展開も含みつつ突っ走ります。ともかく突き進みます(笑)。
面白いです。確かに面白いです。
SFでもあるけど、サイエンス・フィクションでなく、サイエンス・ファタンシーでもいいかな?。自分のイメージ的には80年代に流行った鶴田謙二的冒険活劇に近い雰囲気かな・・・。
ぶっちゃけていってしまうと、コマにページにとっても情報量が多いので、脳みそが疲れるという点(絵的な面もあるので、後半の方が読みやすかったりする)と、話が時々、ぶっ飛んでしまうので置いていかれてしまいうこともあって、なんども後戻りしたりしてしまって、ペースよく読めないのはもう一息でした。
小難しいのは作者のおかげもあるかもしれません(笑)。本作がデビューになる都留泰作(つるだいさく)は、大学のセンセーで、文化人類学者だったりするから(2010年4月から京都精華大学マンガ学部、准教授とプロフにもある)。
都留泰作
「ナチュン」 全6巻完結 講談社刊(月刊アフタヌーン掲載)
Posted by D介 at 12:20│Comments(0)
│なかゆくい